みなと酒場放浪列伝 vol.2

みなと酒場放浪列伝 vol.2

第二杯 築港米穀店

今宵もどこかで駆け付け一杯。

ここは、大阪港にある老舗米屋兼酒屋の築港米穀店。
その歴史は古く、創業100年を超え、現在社長を務める保さんは三代目。

さて、今夜は大阪港発の地ビール
「大阪港ビール」「天保山ビール」
の誕生秘話を、保さんから 聞かせていただくとしよう。

スーパーやコンビニなどで簡単に手に入るようになったこともあり、
お米・お酒屋さんは今や斜陽産業になりつつある。

そんな時代でも稼業を継ぐことを決めた保さんは、なんとか突破口を開きたいと思い立ち、
大好きなビールを、愛する地元・築港でなんとか作れないかと考えた。

これまで、北海道から沖縄までたくさんの地ビール・クラフトビールを飲んできた保さんだが、
なかなか美味しいクラフトビールに出会うことはなかった。

そんな時に、ご実家のある六甲で地ビールを作っている中島さんに出会い、
2013年に開発を始めて1年後に生まれたのが「大阪港ビール」と「天保山ビール」である。

ビールは少しだけ作って試飲して、ということができず、
失敗も多かったため、これまでに掛かった資金は乗用車1台を優に超えるそう。

それでも自分の味を追い求め、何度も何度も試行錯誤し、レシピを見直した。

そうして最初に生まれたのが「大阪港ビール」

ビールにはたくさんのスタイル(ラガーやエール、さらに細かく言うとピルスナーやIPA、ヴァイツェンなど)があり、
こちらの「大阪港ビール」は完全オリジナルスタイルのレシピ。

次に出来上がった「天保山ビール」はIPAのスタイルをとっている。

最初から2種類のビールを作ろうと考えていたそう。
それは、ここ大阪港の顔である山【天保山】と海【大阪港】の魅力を伝えるビールを作りたいという想いから生まれたもの。

そのイメージ通り、
「大阪港ビール」は青い海に負けないさわやかな辛口スタイル。
一杯目のビールにおススメ。

また、「天保山ビール」は日本一キレイと称される大阪湾に沈む夕陽
を彷彿とさせる香高い苦みの効いたビールとなっている。

現在は大阪港だけにとどまらず、北海道から沖縄まで全国約70か所に納品している。

丹精込めて作ったビールを置いてもらうのは、保さん自身が行きたいレストランや、美味しい料理を出すところに決めているそう。

いつかは築港に自社工場と夕陽が眺められる場所に直営のビアバーをオープンさせるのが夢。

ここ大阪港が元気になる活動を、ビールを通じてこれからも取り組んでいきたいと保さんは語る。
何とも地元愛に溢れたビールではないだろうか。

さてはて、一杯頂きますか。 乾杯。

築港米穀店

大阪府大阪市港区築港3-8-1

営業時間/8:00〜19:00

定休日/日・祝日

TEL/06-6571-3454