みなと酒場放浪列伝 vol.4

みなと酒場放浪列伝 vol.4

第四杯 鮨処 こう鶴

今宵もどこかで駆け付け1杯。

海遊館や天保山があるファミリータウンの代表、大阪港・築港にも眠らない酒場がある。


築港に愛され築港に育てられた漢が築港に戻ってきた。

突如として現れたように思えた鮨処「こう鶴」

実はその歴史は古く、康平さんの親父さんを含めた三代目までは定食屋「つるや」として営業していた。

四代目である息子の康平さんが一念発起し、鮨処「こう鶴」として生まれ変わらせたのが今年3月。

「築港にまさか戻ってくるとは。」

これまで築港ではない場所で、鮨一本でやったきた康平さんは、築港に戻ってくることに少し抵抗もあったそう。

観光地である故に、コロナ禍に陥ってからは客足も遠のき、リスクを背負ってまでお店を引き継ぐことは、それなりの覚悟が必要だった。それでも、自分の代で途切れさせるべきでは無いと意を決して、築港に戻ってくる覚悟を決めた。
 

当初築港に戻ってきた時は、周りの方に支えられたという。

「ここは地元愛が強すぎて、居心地が悪く感じる時期もあった。でもやっぱり戻ってきたら、みんなに大事にしてもらって、本当にありがたい」と、照れ臭そうに笑った。


築港での人間関係は祭りで培ってきたという。毎年7月に開催される、港住吉神社例大祭。

地元の漢たちで神輿を担ぎ、その二日間に情熱を注ぐ。特に商売を行っている方は、この祭りが重要だという。

下町というのはどうしても縦と横の繋がりが大事。

「祭りで出会った方には今でもすごくお世話になってる。リニューアルの時の内装アドバイスをもらったりもした。今もお店に顔出してくれて、応援してくれてる」


二年連続中止になってしまったこの祭りだが、開催されなくても人間関係は大事に繋がっているようだ。
この築港エリアでは若手の康平さんは「若い世代がもっと増えて、また活気のある街になってほしい」と築港に願う。

康平さんが厳選した新鮮な魚達


日本酒がすすむわ〜

そんな康平さんの魚へのこだわりは並大抵のものではない。
「マグロは本マグロのみ。水槽で泳いでいる活きがいい魚だけを選んでいます。」

毎朝中央卸売市場へ出向き、自分の目で見たものしか、常に新鮮なものだけしか仕入れないというこだわりっぷり。
またここでは、うどんやそば、赤だしも人気。その理由は、定食屋で長年培ってきた親父さんのこだわりの出汁。

表には立っていないが、奥の厨房で今も現役で調理している。
 

子どもの頃は何もないと思ってた築港やったけど、今思うと、自然の産物が最高の遊び場になってた。何もなくても海と夕陽があるだけで何時間でも過ごせた。

「やっぱりなんだかんだ、築港ってええとこなんですよね」


地元に戻り、形を変えて受け継がれた店を、大事に守るその背中からは、祭りで鍛えられた「漢」の背中を感じた。

鮨処 こう鶴

大阪府大阪市港区築港4-10-27

営業時間/

【通常】11:00-14:00/16:30-23:00【緊急事態宣言中】11:00-14:00/16:00-20:00

定休日/ 月曜日

TEL / 070-1800-9699